ジメジメした世界感の中に、さわやかな女性(川本まゆ)が出演していることが実に爽快!
他の2名(木嶋のりこ、田中美晴)との対比もよく描かれており、このイメージは鶴田監督にしか作れない!
【桂 千穂/脚本家・映画評論家】
とにかくホラー界で元気がいいのは“ゾンビ”と“POV”である。その合体はすでに本家ロメロも試みているが、ここで鶴田法男は“POV”を途中でへーぜんと忘れる大技を仕掛けてきた。
そのへーぜんと忘れた、誰が撮ったか判らないショットこそがザッツ・鶴田法男なのだから、本当にこの人は映画に何が出来るか、チャレンジすることを止めない。かつ、“ゾンビ”物は活劇である。
活劇は金がかかるから、日本映画は尻込みしがちだが、鶴田法男はエレベーターが上昇して来るだけで、待ち受けるフロアを瞬時に活劇空間にしてしまう。正統派B級魂が現代日本で炸裂している。まさにザッツ・鶴田法男なのである。
【高橋 洋/脚本家『リング』・映画監督『恐怖』『旧支配者のキャロル』】
ロメロのゾンビ三部作、更にはルチオ・フルチ『サンゲリア』への愛に満ちた引用に、ここまで「ゾンビ」やりますか!と嬉しくなってしまった。そして、映画に描かれた終末感はフィクションを超えるリアルを感じた。
3,11以降の新しい鶴田映画の誕生だ!これは劇場でこそ体感すべき!
【佐々木浩久/映画監督『発狂する唇』】
優れたゾンビ映画は、社会の暗部を戯画化し娯楽に昇華させる。
それは、近代ゾンビの始祖ジョージ・A・ロメロ監督の『生ける屍の夜』がベトナム戦争へのリアクションだったことからも明白だ。
では、心ある日本人映画監督が今ゾンビ映画を撮るとしたら、何を揶揄するべきなのか。その答えが鶴田法男監督の『Z~ゼット~果てなき希望』だ。
【光武蔵人/映画監督『女体銃 ガン・ウーマン/GUN WOMAN』】
鶴田監督の作品は好きです。ゾンビ映画で新たなチャレンジをされていると思う。
ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」でばらまかれた三十余年前のゾンビウィルスの、チャーミングで懲りない発症例だ。
【樋口尚文/映画評論家・映画監督『インターミッション』】
武闘系、天然系、オタク系――三人の美少女たちに物語を牽引させつつも、内実はロメロ直系、最近ではむしろ珍しいくらいの正統派ゾンビ映画、ではありませぬか。鶴田監督の“ノリ”と“本気”がびしびしと伝わってきて、長年のJホラーファンとしては大変に嬉しくなってしまいます。
【綾辻行人/ミステリー作家】
この作品で鶴田監督は恐怖描写の法則を当然のごとく更新させている。その結果、ロメロ版『ゾンビ』へのラジカルな原点回帰を行う。特に篭城ものとしての密度の濃さはただごとではない。
【田野辺 尚人/別冊映画秘宝編集長】
巨大なショッピングモールの代わりに籠城場所を病院にすることで生まれるサスペンス。ビデオモニターが並んだナースステーションの向こうに広がる闇の中で、あろうことかゾンビ物と心霊ホラー的な表現が混じりあう!
【篠崎誠/映画監督『おかえり』『忘れられぬ人々』】
やればできたのだ!守るべき定石はきっちり守り、新ネタも満載。 ゾンビ一体一体のクオリティも必要にして十分。日本映画に、このジャンルのベンチマークがようやく登場した。
【黒沢清/映画監督『回路』『トウキョウソナタ』】
ロメロ版“リビングデッド”へのリスペクトを込めながらゾンビで何を描くかにこだわり、相原コージ原作の人間的哀愁とユーモアを見事に映像化。 この快作は日本におけるゾンビ映画の可能性をさらに大きく広げることになるだろう。
【江戸木純/映画評論家】